広島県内唯一の手すき和紙産地・広島県大竹市にある大竹和紙工房が
運営難から2005年3月末で閉鎖されると中国新聞記事で読んで、早速行ってきました。

 この大竹和紙工房は、大竹駅近くの商店街に位置し
1996年から 地域の伝統文化継承と空き店舗の有効活用を兼ねて
商店街の振興組合が運営していましたが 売上減と加盟店減少等で
支援も限界となり閉鎖される事となったそうです。



 広島県大竹市の和紙産業は小瀬川(大竹市民は木野川と呼称する人も多い)の清らかな水と、楮(和紙の原料)の生育に適した気候に恵まれ 1600年代から始まり、
安芸藩の専売産業として栄えました。

 明治時代からは文化生活の発展で紙の需要は高まっていきますが
大正の中頃が手漉き和紙の最盛期となり
大竹には何と1,000軒以上の紙漉き業者があったそうです。

 その後、家屋の洋風化(障子紙・フスマ紙需要の減)洋紙の普及などで、製紙技術の集積から大竹・和木にも近代的な洋紙工場ができ始め 和紙漉き業者は次々廃業。
1969(昭和44)年には 紙漉き業者は僅か8軒となり大竹製紙組合も解散したそうです。
 大竹和紙工房では、和紙の絵はがきや凧、楮の木を使った装飾品など 百種を超える和紙グッズなどの販売が行われている他 
手漉き体験が出来ます(要予約)。手漉きはがき製作体験は安価で 時間を要しないのも魅力ですね。

 手漉き和紙の道具や 歴史や製造工程のパネル展示などもありました(写真上)。和紙独特の風合いを生かした商品は、どれも手作りの温かさが感じられます。

 紙は文化水準のバロメーターと言われています。
大竹和紙は鯉のぼり用の紙やふすま紙、障子紙、蛇の目傘紙、大竹和凧などを生産してるようですが
大竹和紙工房は、気軽に和紙と親しむことの出来る機会の少ない私達には 和紙の持つ魅力を学べる良いPR施設といえましょう。

広島県和紙商会
 特産の手描き鯉のぼりなどを作っている所です。市街地からさらに8キロ奥に走ると「大竹手漉き和紙の里」(といっても個人宅ですが)があり 伝統文化を継承しています。
意外な銀行の支店が…
 大竹は 紙を介して四国との経済的結びつきがあり
高知に本拠を置く四国銀行の支店が 何と市内に2つもあったりします。
(四国銀行の本州の12支店は、大竹以外は主要都市だけです)
1914年高知の和紙会社と一緒に 和紙の取引を媒介に大竹に支店を開設して
和紙需要は減退しても 果敢に行政など食い込んで現在も撤退することなく営業しています。
(ちなみに小瀬川を挟んだ山口県の山口銀、西京銀とも大竹市内に支店はありません) 
 他、珍しい所に支店がある例では 横浜銀行も生糸貿易のからみで群馬県桐生に支店があります。
 和紙の美しさだけに留まらず、大竹和紙産業の歴史 果ては「高知の銀行の支店が何故大竹に…?」と云った事まで
今回Webページ製作にあたり学べたことは収穫でもありました。

 今回の旅は広島県西端の大竹市(隣町)なので、実に旅の経費は最低コストで抑えられました(笑)
大竹市を流れる小瀬川 大竹駅前商店街 スペイン通り
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